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◆摘 要:スポーツ言語は高度的に特殊化した言語であり、いろいろなルールと特徴がある。本稿は狭義上の日本語におけるスポーツ用語をめぐって、語彙と構文の特徴を考察したものである。その結果、語彙の面には、和語や漢語や外来語などの混用、複合語をよく用いること、略語を大量に用いること、日本文化と密接していること、日本語におけるスポーツ用語と日常用語がお互いに転化していることなどの特徴があり、構文の面には、短文と命令形を多用することなどの特徴があることを明らかにした。
◆关键词:日本語におけるスポーツ用語;語彙;構文;特徴
1はじめに
中日交流は歴史が長く、交流の分野と形式もますます豊かになっている。その中で、中日両国のスポーツ事業の発展とともに、スポーツに関する試合、科学、教育、施設などの交流が特に注目されてきている。しかし、中国では、そのスポーツ交流に必要な言語学研究、特に日本語におけるスポーツ用語についての研究があまり多くないようである。鮑海昌(2000)は日本の野球用語をめぐって、日本語日常コミュニケーションにおけるスポーツ用語を分析した[1]。李霞(2011)は日本語の「スポーツ」、「体育」、「運動」といった三つの言葉の違いを比較した。楊長明(2016)は日本語の「運動」に関する概念から、日本の「運動人類学」の発展及び我が国への啓発を考察した[3]。それ以外、教科書やネットで、各スポーツ項目の用語をまとめてみたが、日本語におけるスポーツ用語の特徴をまとめるものがないようである。中国の学術情報データベースのCNKIで、“体育日语”をキーワードとして検索した結果はゼロであるが、“体育英语”をキーワードとして検索した結果は209がある(2020年7月30日まで)。
それゆえ、本稿では、言語学の視野から、特に語彙と構文の面から、日本語におけるスポーツ用語の特徴を考察してみる。
2日本語におけるスポーツ用語の定義
Wojciech Liponskiはスポーツ言語が高度的に特殊化した言語であり、いろいろなルールがあると指摘した。それによって、狭い意味で言えば、日本語におけるスポーツ用語がスポーツ試合やスポーツ活動に用いられる日本語である。広い意味で言えば、日本語におけるスポーツ用語がスポーツと関連するすべての活動の中で使われる日本語である。つまり、日本語におけるスポーツ用語は範囲が広く、普通の日本語にスポーツの内容も含めているし、ほかにスポーツ科学やスポーツニュースなどの分野に使われる日本語も含めている。言語学において、LSP(Languages for Specific/Special Purposes)という専門用語があるが、本稿では日本語におけるスポーツ用語をLSPの一種として、スポーツ試合やスポーツ活動に用いられる日本語に制限する。
3日本語におけるスポーツ用語の特徴
3.1語彙の特徴
翟東娜、潘鈞(2008)は《日语概论》で指摘したように、日本語の語彙は数が多いが、普通のテキストへのカバー率が他の言語より低い。それは主に語構成の特徴と位相語の豊富さからの結果である。具体的にいえば、日本語で具体的な物事を指示するとき、話し手の年齢、性別、身分、職業、地域などの要素によって、異なる言葉を選ぶ。このような差別は日本語語彙の位相である。位相語には違う年齢層の用語、男性用語と女性用語、職業語と専門語などがある。日本語におけるスポーツ用語の語彙が「専門語」に属していて、以下の特徴をまとめてみる。
3.1.1和語や漢語や外来語などの混用
スポーツの種目は數が多くて、日本の国技と言われる相撲、古代日本の武士が空手で格闘する時の技に由来した柔道などの日本の伝統スポーツもあるし、野球、ラグビーなどの外来のスポーツもある。それが、日本語におけるスポーツ用語の語彙の多様化と複雑化を決めた。一般的には、日本本土の項目には和語と漢語が多用され、それ以外の項目には外来語が多用される。例えば、相撲用語の「横綱」、「幕下」、柔道の技としての「腕挫十字固」、「抑え込み」、野球用语の「アウトカーブ」、「ピンチヒッター」、ラグビー用语の「アクシデンタルオフサイド」、「ダミーパス」など。また、混種語も日本語におけるスポーツ用語でよく見られる。例えば、「粘着ラバー」、「逆転ホームラン」など。
3.1.2複合語をよく用いること
語彙の構成原理と特徴によって、日本語の語彙は単純語と合成語に分けられ、合成語が更に複合語と派生語に分けられている。この中で、複合語は修飾、補足などの役割を持って、単純語より生き生きと、速く、複雑な物事を明確に表現できる。これによって、複合語が日本語におけるスポーツ用語に広く使われている。例えば、相撲用語の「一代年寄」、柔道用語の「一本勝負」など。
3.1.3略語を大量に用いること
スポーツに関することをもっと簡潔に、効率よく表現するために、略語を大量に用いる。日本語におけるスポーツ用語において、略語は英語の略語と日本語の略語があり、多くがスポーツ組織と競技項目の名前である。例えば、NBA(National Basketball Associationの略語で、北米のプロバスケットボールリーグのこと)、IBF(International Badminton Federationの略語)、DNF(Did Not Finishの略語)、ナイター(ナイターゲームの略語)、Wカップ(World Cupの略語)、ゲッツ(get twoの略語)など。
3.1.4日本文化と密接していること
日本には、日本本土から生まれて、歴史の長いスポーツ項目がある。それらの項目に用いられる語彙が日本文化と密接している。 例えば、相撲における「寄り切り」、「払い腰」、「大刈り」、「技あり」、「一本」や柔道における「上手投げ」、「下手投げ」、「化粧廻し」、「水入り」など。相撲や柔道など日本発祥のスポーツが日本文化の一部になり、以上のような日本語におけるスポーツ用語が、日本文化と密接している。外国人に理解させるために、翻訳策略を慎重に考えなければならない。
3.1.5日本語におけるスポーツ用語と日常用語がお互いに転化していること
上に述べたように、専門語と職業語は日本語語彙の位相語として、各分野において明確な概念が求められている。しかし、社会の発展とメディアの発達に伴って、専門語と生活用語の境が次第に曖昧になり、日常用語が専門語に転化される当時に、一部の専門語と職業語が社会に広く使われて普通の語彙になった。日本語におけるスポーツ用語の語彙にはそういう転化現象が常に見られる。
A.日常用語からスポーツ用語への転化
野球を例にして、数多くの一般的な生活用語とかほかの領域の用語は直接に野球に導入されたが、これらの言葉は常に新たな意味に与えられた。使用者たちは野球運動に適応するために、これらの言葉の本来の意味を改め、延べさせた。
例1:「封殺」は最初に相手の動きを封じるという意味を表し、野球では次のベースに走らなければならない走者が走りつく前に、ボールをそのベースに送って走者につけてアウトにすることを表すようになった。
例2:「敬遠」は最初に表面では敬う態度で、実際にはかかわりを持たないようにすること。また、かかわりを持つことを嫌ってその物事を避けるという意味を表す。野球で、投手が打者との勝負を避け、故意に四球を与えることを表すようになった。
B.スポーツ用語から日常用語への転化
日本語におけるスポーツ用語の語彙の一部はすでにスポーツそのものだけでなく、日本人の日常的なコミュニケーションにも活用されて、復数の意義が生まれてきた。
例3:「続投」は野球で投手の交代をせずに投げ続ける事を表す。
日常用語にある引用義:転じて、任期を終わろうとしている者が辞任せず引き続き任にあたること。
(1)今度の事件で首相の続投の目はなくなった。(『スーパー大辞林3.0』)
(2)Y社の社長、続投が決まったみたいだよ。(《日常会话中的棒球用语》)
例4:「空振り」は野球で打者の振ったバットがボールに当たらないことを表す。
日常用語にある引用義:企図したことが失敗に終わること。
(3)懸命な説得も空振りに終わった。(『スーパー大辞林3.0』)
(4)冗談を言って部長の怒りを静めようとしたが空振りだった。(《日语语言交际中的体育用语》)
例5:「全力投球」は野球で投手が全力を出して投球することを表す。
日常用語にある引用義:全力を傾けて物事に取り組むこと。
(5)A:鈴木さん、毎日残業してがんばっているな~。
B:心機一転、新しいプロジェクトに全力投球しているみたいだね。(《日常会话中的棒球用语》)
3.1.6同じ言葉は異なる項目に適用すること
日本語におけるスポーツ用語の語彙には、同じ言葉が異なる項目に使われる場合もある。
例えば、「白星」、「黒星」はもともと相撲専用の言葉であり。相撲の成績一覧表で勝負を表す。白星は勝ちを示し、黒星は負けを示す。今、白星と黒星は野球試合の結果報道にもよく使われる。
「駄目押し」は元々囲碁用語である。碁で、駄目石を置いて詰め、地とまぎえないようにするという意味である。今野球などのスポーツで、勝負の大勢が決まった後、さらに得點して勝利を確定的にすることを示している。
3.2構文の特徴
孫群(1984)は《日语句法》で指摘したように、構文という言葉に二つの意味があり、一つは文の構造法則で、つまり文の構成法そのものである[5]。もう一つは文の構造法則を研究した科学で、つまり構文論(シンタックス)である。本稿における構文は文の構造法則を指す。日本語におけるスポーツ用語の構文の特徴を以下のようにまとめみる。
3.2.1短文をよく用いること
スポーツ試合で、速く気持ちを表現したり競技場の雰囲気を盛り上げたりするために、よく短文を使う。例えば、「手をおろして!」「位置について!」、「用意!」、「どん!」など。
3.2.2単文で動詞をよく用いること
スポーツ試合では、審判は簡単な動詞からなる短文を使って試合を順調に進めるように指導する。例えば、行司用語の「見合って!」「構えて!」、「はっけよい!残った!残った!」。
3.2.3命令形をよく用いるすること
日本語の命令形は言葉が簡潔で、調子が強いので、命令の感じが強い場合によく使われて、直接に対象に影響を与えられる。それに、積極的な感情を表現したり、他人を励ましたりすることもできる。以上のために命令形はトレーニングとスポーツ試合でよく見られる。例えば、トレーニングするとき、「集合しろ!」をよく使う。試合を観戦するとき、観衆からの「××、打ってー!」「戦え!戦え!」「頑張れー!」など。
4おわりに
以上、本稿では、日本語におけるスポーツ用語をめぐって語彙と構文の特徴を全面的に分析した。その結果、語彙の面には、和語や漢語や外来語などの混用、複合語をよく用いること、略語を大量に用いること、日本文化と密接していること、日本語におけるスポーツ用語と日常用語がお互いに転化していることなどの特徴があり、構文の面には、短文と命令形を多用することなどの特徴があることを明らかにした。 スポーツ言語は広い意味と狭い意味があり、本稿では狭い意味の日本語におけるスポーツ用語の特徴を考察してみたが、異なるスポーツテキストにおける日本語の特徴をそれぞれに考察していない。それに、日本語におけるスポーツ用語を中国語に翻訳する策略研究も行っていない。今後さらにそれらのことを研究していきたい。
参考文献
[1]鲍海昌.日语语言交际中的体育用语[J].日语知识,2011,(3):23-26.
[2]李霞.日语中“スポーツ”,“体育”,“運動”的比较[J].科技信息,2011(21):203.
[3]杨长明.从日语运动概念考察日本“运动人类学”发展及对我国的启示[J].西安.
[4]翟东娜,潘钧.日语概论[M].北京:高等教育出版社,2008:88-90,99-101.
[5]孙群.日语句法[M].吉林:吉林人民出版社,1985:1.
[6]谷口惠,逧田善弘,王雪茹.日常会话中的棒球用语[J].日语知识, 2011(10):25-26.
[7]朱晓淑.相扑职业用语拾趣[J].青年文学家,2014,(03):145-145.
[8]郑峻.第三帝国时期的德国体育及其语言[J].体育科技文献通报,2020(01):54-76.
[9]大久保英哲等.体育における用語の変遷(2):日本の場合(シンポジウム,体育史,専門分科会企画行事)[C]// Congress of the Japanese Society of Physical Education. Japanese Society of Physical Education, Health and Sport Sciences, 1994.
[10]小田切毅一. 011J03 体育用語史の視野からみた新体育論の再検討:特徴的な「規定詞」の用例を中心に(01.体育史,一般研究発表)[C]// Congress of the Japanese Society of Physical Education. Japanese Society of Physical Education, Health and Sport Sciences, 1994.
[11]小田切毅一. 体育用語史の視野からみた新体育用語記述の検討[J].日本体育学会大会号, 1995.
[12]籾山洋介.スポーツに由来する日常の言葉[N]. 読売新聞「日曜の朝に」,2012-07-15.
[13]相撲が由来の言葉まとめ!アノ言葉も相撲が由来だった!(2018-04-14)[2020-01-22].https://jouhou-kan.net/archives/955スポーツ関連用語一覧表(2005-09-24)[2020-07-14].https://ja.m.wikipedia.org Lipoński,Wojciech. Still an unknown European tradition:Polish sport in the European cultural heritage[J].International Journal of the History of Sport,2007,13(02):1-41.
[14]日本語語彙の一種で、和語·漢語·外来語といった異なる形態素からなる複合語のことを指す。つまりこの三つの中で二つ以上が混用された語を指す。翟东娜,潘钧.日语概论[M].北京:高等教育出版社.
[15]大相撲で、特別の功績があった引退力士に贈られる名跡。通常の年寄り(年寄株を持つ105名)とは別枠で、個人一代に限って待遇される1969年(昭和44年)の横綱大鵬が最初。『スーパー大辞林3.0』松村明·三省堂編修所,2010.东京.
[16]柔道や剣道で、一方が一定時間内にわざを一本とれば終了とする試合形式。転じて、一度の勝負で決着をつけること。日本大辞典刊行会.日本国语大辞典[M].株式会社小学馆,2006.
作者简介
路雅婷(1999—),女,汉族,河北省石家庄市人,本科在读,湖南农业大学人文与外语学院,主要研究方向:日语。
通讯作者:王丽珠(1988—),女,汉族,湖南省衡阳市人,硕士,湖南农业大学人文与外语学院講师。主要研究方向:日语教育、日语语言学。
◆关键词:日本語におけるスポーツ用語;語彙;構文;特徴
1はじめに
中日交流は歴史が長く、交流の分野と形式もますます豊かになっている。その中で、中日両国のスポーツ事業の発展とともに、スポーツに関する試合、科学、教育、施設などの交流が特に注目されてきている。しかし、中国では、そのスポーツ交流に必要な言語学研究、特に日本語におけるスポーツ用語についての研究があまり多くないようである。鮑海昌(2000)は日本の野球用語をめぐって、日本語日常コミュニケーションにおけるスポーツ用語を分析した[1]。李霞(2011)は日本語の「スポーツ」、「体育」、「運動」といった三つの言葉の違いを比較した。楊長明(2016)は日本語の「運動」に関する概念から、日本の「運動人類学」の発展及び我が国への啓発を考察した[3]。それ以外、教科書やネットで、各スポーツ項目の用語をまとめてみたが、日本語におけるスポーツ用語の特徴をまとめるものがないようである。中国の学術情報データベースのCNKIで、“体育日语”をキーワードとして検索した結果はゼロであるが、“体育英语”をキーワードとして検索した結果は209がある(2020年7月30日まで)。
それゆえ、本稿では、言語学の視野から、特に語彙と構文の面から、日本語におけるスポーツ用語の特徴を考察してみる。
2日本語におけるスポーツ用語の定義
Wojciech Liponskiはスポーツ言語が高度的に特殊化した言語であり、いろいろなルールがあると指摘した。それによって、狭い意味で言えば、日本語におけるスポーツ用語がスポーツ試合やスポーツ活動に用いられる日本語である。広い意味で言えば、日本語におけるスポーツ用語がスポーツと関連するすべての活動の中で使われる日本語である。つまり、日本語におけるスポーツ用語は範囲が広く、普通の日本語にスポーツの内容も含めているし、ほかにスポーツ科学やスポーツニュースなどの分野に使われる日本語も含めている。言語学において、LSP(Languages for Specific/Special Purposes)という専門用語があるが、本稿では日本語におけるスポーツ用語をLSPの一種として、スポーツ試合やスポーツ活動に用いられる日本語に制限する。
3日本語におけるスポーツ用語の特徴
3.1語彙の特徴
翟東娜、潘鈞(2008)は《日语概论》で指摘したように、日本語の語彙は数が多いが、普通のテキストへのカバー率が他の言語より低い。それは主に語構成の特徴と位相語の豊富さからの結果である。具体的にいえば、日本語で具体的な物事を指示するとき、話し手の年齢、性別、身分、職業、地域などの要素によって、異なる言葉を選ぶ。このような差別は日本語語彙の位相である。位相語には違う年齢層の用語、男性用語と女性用語、職業語と専門語などがある。日本語におけるスポーツ用語の語彙が「専門語」に属していて、以下の特徴をまとめてみる。
3.1.1和語や漢語や外来語などの混用
スポーツの種目は數が多くて、日本の国技と言われる相撲、古代日本の武士が空手で格闘する時の技に由来した柔道などの日本の伝統スポーツもあるし、野球、ラグビーなどの外来のスポーツもある。それが、日本語におけるスポーツ用語の語彙の多様化と複雑化を決めた。一般的には、日本本土の項目には和語と漢語が多用され、それ以外の項目には外来語が多用される。例えば、相撲用語の「横綱」、「幕下」、柔道の技としての「腕挫十字固」、「抑え込み」、野球用语の「アウトカーブ」、「ピンチヒッター」、ラグビー用语の「アクシデンタルオフサイド」、「ダミーパス」など。また、混種語も日本語におけるスポーツ用語でよく見られる。例えば、「粘着ラバー」、「逆転ホームラン」など。
3.1.2複合語をよく用いること
語彙の構成原理と特徴によって、日本語の語彙は単純語と合成語に分けられ、合成語が更に複合語と派生語に分けられている。この中で、複合語は修飾、補足などの役割を持って、単純語より生き生きと、速く、複雑な物事を明確に表現できる。これによって、複合語が日本語におけるスポーツ用語に広く使われている。例えば、相撲用語の「一代年寄」、柔道用語の「一本勝負」など。
3.1.3略語を大量に用いること
スポーツに関することをもっと簡潔に、効率よく表現するために、略語を大量に用いる。日本語におけるスポーツ用語において、略語は英語の略語と日本語の略語があり、多くがスポーツ組織と競技項目の名前である。例えば、NBA(National Basketball Associationの略語で、北米のプロバスケットボールリーグのこと)、IBF(International Badminton Federationの略語)、DNF(Did Not Finishの略語)、ナイター(ナイターゲームの略語)、Wカップ(World Cupの略語)、ゲッツ(get twoの略語)など。
3.1.4日本文化と密接していること
日本には、日本本土から生まれて、歴史の長いスポーツ項目がある。それらの項目に用いられる語彙が日本文化と密接している。 例えば、相撲における「寄り切り」、「払い腰」、「大刈り」、「技あり」、「一本」や柔道における「上手投げ」、「下手投げ」、「化粧廻し」、「水入り」など。相撲や柔道など日本発祥のスポーツが日本文化の一部になり、以上のような日本語におけるスポーツ用語が、日本文化と密接している。外国人に理解させるために、翻訳策略を慎重に考えなければならない。
3.1.5日本語におけるスポーツ用語と日常用語がお互いに転化していること
上に述べたように、専門語と職業語は日本語語彙の位相語として、各分野において明確な概念が求められている。しかし、社会の発展とメディアの発達に伴って、専門語と生活用語の境が次第に曖昧になり、日常用語が専門語に転化される当時に、一部の専門語と職業語が社会に広く使われて普通の語彙になった。日本語におけるスポーツ用語の語彙にはそういう転化現象が常に見られる。
A.日常用語からスポーツ用語への転化
野球を例にして、数多くの一般的な生活用語とかほかの領域の用語は直接に野球に導入されたが、これらの言葉は常に新たな意味に与えられた。使用者たちは野球運動に適応するために、これらの言葉の本来の意味を改め、延べさせた。
例1:「封殺」は最初に相手の動きを封じるという意味を表し、野球では次のベースに走らなければならない走者が走りつく前に、ボールをそのベースに送って走者につけてアウトにすることを表すようになった。
例2:「敬遠」は最初に表面では敬う態度で、実際にはかかわりを持たないようにすること。また、かかわりを持つことを嫌ってその物事を避けるという意味を表す。野球で、投手が打者との勝負を避け、故意に四球を与えることを表すようになった。
B.スポーツ用語から日常用語への転化
日本語におけるスポーツ用語の語彙の一部はすでにスポーツそのものだけでなく、日本人の日常的なコミュニケーションにも活用されて、復数の意義が生まれてきた。
例3:「続投」は野球で投手の交代をせずに投げ続ける事を表す。
日常用語にある引用義:転じて、任期を終わろうとしている者が辞任せず引き続き任にあたること。
(1)今度の事件で首相の続投の目はなくなった。(『スーパー大辞林3.0』)
(2)Y社の社長、続投が決まったみたいだよ。(《日常会话中的棒球用语》)
例4:「空振り」は野球で打者の振ったバットがボールに当たらないことを表す。
日常用語にある引用義:企図したことが失敗に終わること。
(3)懸命な説得も空振りに終わった。(『スーパー大辞林3.0』)
(4)冗談を言って部長の怒りを静めようとしたが空振りだった。(《日语语言交际中的体育用语》)
例5:「全力投球」は野球で投手が全力を出して投球することを表す。
日常用語にある引用義:全力を傾けて物事に取り組むこと。
(5)A:鈴木さん、毎日残業してがんばっているな~。
B:心機一転、新しいプロジェクトに全力投球しているみたいだね。(《日常会话中的棒球用语》)
3.1.6同じ言葉は異なる項目に適用すること
日本語におけるスポーツ用語の語彙には、同じ言葉が異なる項目に使われる場合もある。
例えば、「白星」、「黒星」はもともと相撲専用の言葉であり。相撲の成績一覧表で勝負を表す。白星は勝ちを示し、黒星は負けを示す。今、白星と黒星は野球試合の結果報道にもよく使われる。
「駄目押し」は元々囲碁用語である。碁で、駄目石を置いて詰め、地とまぎえないようにするという意味である。今野球などのスポーツで、勝負の大勢が決まった後、さらに得點して勝利を確定的にすることを示している。
3.2構文の特徴
孫群(1984)は《日语句法》で指摘したように、構文という言葉に二つの意味があり、一つは文の構造法則で、つまり文の構成法そのものである[5]。もう一つは文の構造法則を研究した科学で、つまり構文論(シンタックス)である。本稿における構文は文の構造法則を指す。日本語におけるスポーツ用語の構文の特徴を以下のようにまとめみる。
3.2.1短文をよく用いること
スポーツ試合で、速く気持ちを表現したり競技場の雰囲気を盛り上げたりするために、よく短文を使う。例えば、「手をおろして!」「位置について!」、「用意!」、「どん!」など。
3.2.2単文で動詞をよく用いること
スポーツ試合では、審判は簡単な動詞からなる短文を使って試合を順調に進めるように指導する。例えば、行司用語の「見合って!」「構えて!」、「はっけよい!残った!残った!」。
3.2.3命令形をよく用いるすること
日本語の命令形は言葉が簡潔で、調子が強いので、命令の感じが強い場合によく使われて、直接に対象に影響を与えられる。それに、積極的な感情を表現したり、他人を励ましたりすることもできる。以上のために命令形はトレーニングとスポーツ試合でよく見られる。例えば、トレーニングするとき、「集合しろ!」をよく使う。試合を観戦するとき、観衆からの「××、打ってー!」「戦え!戦え!」「頑張れー!」など。
4おわりに
以上、本稿では、日本語におけるスポーツ用語をめぐって語彙と構文の特徴を全面的に分析した。その結果、語彙の面には、和語や漢語や外来語などの混用、複合語をよく用いること、略語を大量に用いること、日本文化と密接していること、日本語におけるスポーツ用語と日常用語がお互いに転化していることなどの特徴があり、構文の面には、短文と命令形を多用することなどの特徴があることを明らかにした。 スポーツ言語は広い意味と狭い意味があり、本稿では狭い意味の日本語におけるスポーツ用語の特徴を考察してみたが、異なるスポーツテキストにおける日本語の特徴をそれぞれに考察していない。それに、日本語におけるスポーツ用語を中国語に翻訳する策略研究も行っていない。今後さらにそれらのことを研究していきたい。
参考文献
[1]鲍海昌.日语语言交际中的体育用语[J].日语知识,2011,(3):23-26.
[2]李霞.日语中“スポーツ”,“体育”,“運動”的比较[J].科技信息,2011(21):203.
[3]杨长明.从日语运动概念考察日本“运动人类学”发展及对我国的启示[J].西安.
[4]翟东娜,潘钧.日语概论[M].北京:高等教育出版社,2008:88-90,99-101.
[5]孙群.日语句法[M].吉林:吉林人民出版社,1985:1.
[6]谷口惠,逧田善弘,王雪茹.日常会话中的棒球用语[J].日语知识, 2011(10):25-26.
[7]朱晓淑.相扑职业用语拾趣[J].青年文学家,2014,(03):145-145.
[8]郑峻.第三帝国时期的德国体育及其语言[J].体育科技文献通报,2020(01):54-76.
[9]大久保英哲等.体育における用語の変遷(2):日本の場合(シンポジウム,体育史,専門分科会企画行事)[C]// Congress of the Japanese Society of Physical Education. Japanese Society of Physical Education, Health and Sport Sciences, 1994.
[10]小田切毅一. 011J03 体育用語史の視野からみた新体育論の再検討:特徴的な「規定詞」の用例を中心に(01.体育史,一般研究発表)[C]// Congress of the Japanese Society of Physical Education. Japanese Society of Physical Education, Health and Sport Sciences, 1994.
[11]小田切毅一. 体育用語史の視野からみた新体育用語記述の検討[J].日本体育学会大会号, 1995.
[12]籾山洋介.スポーツに由来する日常の言葉[N]. 読売新聞「日曜の朝に」,2012-07-15.
[13]相撲が由来の言葉まとめ!アノ言葉も相撲が由来だった!(2018-04-14)[2020-01-22].https://jouhou-kan.net/archives/955スポーツ関連用語一覧表(2005-09-24)[2020-07-14].https://ja.m.wikipedia.org Lipoński,Wojciech. Still an unknown European tradition:Polish sport in the European cultural heritage[J].International Journal of the History of Sport,2007,13(02):1-41.
[14]日本語語彙の一種で、和語·漢語·外来語といった異なる形態素からなる複合語のことを指す。つまりこの三つの中で二つ以上が混用された語を指す。翟东娜,潘钧.日语概论[M].北京:高等教育出版社.
[15]大相撲で、特別の功績があった引退力士に贈られる名跡。通常の年寄り(年寄株を持つ105名)とは別枠で、個人一代に限って待遇される1969年(昭和44年)の横綱大鵬が最初。『スーパー大辞林3.0』松村明·三省堂編修所,2010.东京.
[16]柔道や剣道で、一方が一定時間内にわざを一本とれば終了とする試合形式。転じて、一度の勝負で決着をつけること。日本大辞典刊行会.日本国语大辞典[M].株式会社小学馆,2006.
作者简介
路雅婷(1999—),女,汉族,河北省石家庄市人,本科在读,湖南农业大学人文与外语学院,主要研究方向:日语。
通讯作者:王丽珠(1988—),女,汉族,湖南省衡阳市人,硕士,湖南农业大学人文与外语学院講师。主要研究方向:日语教育、日语语言学。